この章のポイント  この章では移住年数を追って生活の実情を示します。移住を考えておられる皆さんが移住後どういう生活を送るか想像する足しにして下さい。
目次  移住3年目
 移住5年目
 移住7年目
 移住11年目
 移住16年目
移住年数でみる生活の実情
風景
2001年 9月30日公開
2015年 3月 1日更新


移住3年目
 〜 最初に住んだ土地で生活が軌道に乗ってきた頃です 〜

買い物

 月2〜3回程度、約120キロ、車で約2時間の距離を行きました。もっと近所でも買い物できないわけでもないですが、自分の要求水準に見合った買い物ができない等いろいろな理由であまり利用していません。新鮮な食べ物を食べられるのは基本的にこの直後の数日です。
 少し趣味的な買い物になると札幌や東京でなければ非常に難しいです。ピークでは隔週で札幌に行くこともありました。東京にも年2〜3回程度行っていました。

病院

 やはり約120キロ、車で約2時間の距離を行きました。法制上総合病院といわれる病院はそこまでありません(実話)。町立診療所程度なら各町にありますが、風邪程度ならともかく、科の数が少なく診療日にも制約があるため、少しやっかいな診療が必要になるとそちらに行かざるを得ません。
 私の場合理由はいろいろありますが、近所にない科を受けていることおよび診療上の制約からなるべく同じ病院を利用するようにしています。すると都度その距離と時間をかけて病院へ行くことになります。

 旅は確かにそれなりにしています。週末に近所に出かければ、道外の人がわざわざ来ないといけないようなところへも手軽に行けるわけですし、今の仕事は世間様に比べれば割と休みがとりやすいこともあります。その意味で私としては生活のクオリティは悪くないと思います。
 ただ前掲のように買い物等で遠出をする必要から休日がつぶされたりすることもあります。都市部に住む人ならそんな必要はないでしょう。
 また道外に出ることもありますので飛行機を利用する機会は結果的には増えてしまいました。安い航空運賃が登場したことで出やすくなったこともありますが、観光よりは必要性による往来が増えたことは喜んでいいものやらそうでないものやら思案する今日この頃です。




移住5年目
 〜 転勤して1年、新任地での生活が軌道に乗った時期です 〜

居住地の変更

 移住して4年目で職場の異動により居住地が支庁を越えて変わりました。この異動は別にご紹介する家族生活および定住への基盤作りの点から希望して実現したものでした。
 私の職場の事情では支庁を越えての異動は特別に希望しなければ基本的には実現しないので、この異動が実現できたことは北海道定住を考える上では大きな一歩でした。

結婚

 移住して5年目で道内出身の妻と結婚しました。妻の出身地も今の居住地から近く、出身地近くで仕事ができればいいと思います。
 結婚当初1年は妻の勤務地の関係で180キロ離れた別居生活となり、その往復がほとんどになり不便も多々強いられましたが、私の職場の暖かい理解もありなんとか乗り切りました。両方の家をベースに旅をしましたので、生活圏に観光ポイントを多々抱え、1年間で済んだ「結果から振り返ってみると」楽しむこともできたかなと思います。もうやりたくはないですが。

買い物

 この頃になると40キロちょっと離れた程度の近所の小都市で済ませることが多くなってきました。
 理由としては品質的に気に入って利用しているスーパーの系列店がたまたまその街にあったこと、150キロも離れた遠くの中都市に行っても距離に見合った意味を見いだしにくくなったこと、さらに札幌や旭川など道内大都市が近くなり本当に遠出が必要であればそっちで済ませればいいことで中途半端な規模の街に用事がなくなったこと、根本的に遠出が面倒くさくなってきたことなどが挙げられます。




移住7年目
 〜 子どもの誕生を迎えますが、ここにも課題はあります 〜

妊娠・出産

 我が家にも待望の子どもが生まれることとなりました。
 産婦人科医師不足は地方では深刻で、分娩のできる最寄りの病院まで約90キロ、車で約1時間半かかります。峠越えもあり、冬場は自宅と病院の天気も大きく違います。路線バスを乗り継いで行けないこともないですが、そんなことを妊婦にさせる気など毛頭ありません。
 もともと病院の距離にかかわらずそうしたかったこともあり、通院から出産まですべて付き添いました。職場の暖かい理解と協力もありできましたが、まだまだ真の男女共同参画の意識など低すぎるこの国において、振り返って考えるとよい仲間に巡り会えたなと思います。
 出産に関しては結局誘発分娩になったことと、もっと遠い距離の妊産婦も受け入れている病院であったことから適切な判断で無事に終わることができましたが、不安要素であることには間違いないです。




移住11年目
 〜 自宅を建設し定住へ 〜

自宅の建設

 家を建て北海道に定住することとなりました。
 場所については妻の実家がある町としました。北海道的に風光明媚な地域は他にも多々ありますが、勤務地がそうした地域になるには困難を伴うこと、親族が近くにいる安心感が望まれたこと、その地域が都市部との距離等を考えても地勢的に著しく不便でもないこと等々を踏まえてそうした選択としました。
 限られた予算で内実ともに良い家にするため建築事務所を介した家造りとしましたが、都市部から遠いことが制約条件を生んだことは少なからず否定はできません。それでも担当した建築家も施工業者も片道100キロ以上もの距離を日々通い詰めてくれる方々に出会えたため、距離面での不利が資金面に大きな影響を及ぼすことなく良い家造りができました。
 なお、自宅建設の詳細についてはこちらでご覧いただけます。

本州の実家への旅

 子どもや妻を連れて久しぶりに本州へ行きました。私と妻は3年ぶり、子どもたちは生まれてはじめて飛行機に乗っての本州への旅です。東京でディズニーランドを子どもたちに体験させ、新幹線で私の親が住む家へ向かうという旅でした。
 小さい子どもをむやみに公共交通機関に乗せないのが個人的な考えでしたが、妻の育児休業中でないと閑散期にそうした体験ができないと今回は連れて行きましたが、子どもたちは立派に行動してくれました。子どもたちはもちろん、妻も結婚5年目にしてはじめて私の実家に行きました。
 この旅を通じて、子どもたちには広い視野と社会体験をするためにも北海道に閉じこもっているだけではダメだ、北海道ではできない体験をさせることも大変大事だと思いました。親が北海道好きなのは勝手ですが、子どもたちには時々北海道の外に出る体験もさせなければと感じる旅でした。



※今後の北海道生活に関する構想を「移住から定住へ」として採り上げていますのでご覧ください。

移住16年目
 〜 子どもと海外進出の旅 〜

子どもと海外旅行

 子どもと初の海外旅行に行くことにしました。
 場所については、ロンドンとパリになりました。息子が3歳の時に「ロンドンいきたーい」と言っていた一言がビデオにばっちり残っており、これが決め手となりました。息子が図鑑で見ていたユーロスターにも乗ることにしました。
 私はパスポートを持つことなど生涯ないつもりでしたが、良くも悪くも国際化が言われる折、子どもに外国を見せておいてもいいかなと思いました。
 いきなりヨーロッパというのも海外初体験の大人にも想像がつかないことだったので、他も考えましたが、@英語圏の先進国、Aある程度安全、Bアメリカ以外の条件で考えていたので、息子の希望通り一気にロンドンに行っちゃえ!と思い決定しました。

 羽田空港が国際線拡張をすすめる中、往路こそ前泊が必要だったものの、復路は地方空港でも同日乗り継ぎができ、パリから一気に帰ってきました。これも新鮮な経験でした。
 費用的には、国内どこからでも追加料金不要のパックを利用したため、北海道に住んでいることによる余計な負担は都内前泊分の宿泊費ぐらいのものでした。前泊した都内も子どもの社会科見学で東京タワーや国会議事堂など連れて行きましたので有効に使えました(東京に住んでいればそんなのは学校でやってくれるんでしょうが)。
 ビッグベンやエッフェル塔などいかにもという所を廻ったほか、ディズニーランド・パリも急遽追加し、子ども達は満喫しておりました。テレビなどで世界を見る目も確実にひろがったようで、大枚はたいていった甲斐がありました。


北海道は・・・???

 海外旅行は大いに楽しめましたが、移住までした北海道は最近どこへ行ったのやら?
 この何年か、本州には毎年行っていますが、道内はスキーや温泉にちょぼちょぼ行くか、買い物ついでに少しドライブする程度の旅行が中心になってしまっています。

 北海道は、この国の中で住むには、大変いい所だとは思います。
 しかし旅先としてはイマイチ魅力を感じにくくなってきている今日この頃です。最近は子どもの社会体験という側面も重視しているので、その意味でもあまり魅力を感じにくくなっています。田舎体験は近所で充分だし、本格的な都市体験がしたければ本州行った方がいいですからね。

 夏の北海道は近年は暑く、また繁忙期でありコスパも悪いことから近年はあまり夏にムリに旅行することもなくなってしまいました。ロンドンに避暑に行っているくらいですからね・・・。避暑はヨーロッパの方がいいと思ってしまいました。

 夏のヨーロッパに行ってみて、なぜ北海道に欧州方面から人が来ないのか実感しました。
 風景も自然もほぼ同じ。むしろ気候は欧州の方がマイルドで、古来から多くの人が住み歴史の表舞台になってきたことにも理由があるんだなと思いました。食べ物に関しても、素材に特段のアドバンテージはなく、最近ウリにしているスイーツなどの分野では、むしろ技術面では劣るくらい。
 北海道がアジアのヨーロッパにはなれたとしても本物には及ばなく、アジアや季節が逆の豪州からスキー客は呼べたとしても、欧州から呼ぶには材料不足。
 だから東京や京都に先進国の観光客が結集しても北海道に来ることはないし、向こうから見ればわざわざ行く必要もない。北海道の課題を感じた気がします。


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